「瓶牛乳」がどうしても欲しくなりメーカーに問い合わせて買いに行った。
きっかけは、福岡市の天神にオープンしたワン・フクオカ・ビルディングでワイングラスの専門店に立ち寄ったこと。店には形や大きさもさまざまワイングラスが並んでいる。驚いたのは、札に値段と共にメルロやピノ・ノワールなどブドウの品種が書かれていたことだ。聞けば品種ごとのグラスをデザインしているのだそうだ。ワインの味わいはグラスの形状によって変わるという。
ワインではないが思い当たるのが、小学生の頃、学校給食で飲んだ牛乳の味だ。特に「瓶牛乳」は格別のうまさだった。後に紙パックになった時は、ストローで飲む味に何か物足りなさを感じたものだ。きっと、唇にあたる瓶の形状や質感、鼻から入る香りや、口の中に流れ込む牛乳と空気の量が味わいに作用していたのだろう。
近年の学校給食ではプラスチックごみ削減のためにストローレスの紙パックで牛乳を直飲みするスタイルが広がってきている。ストローよりも香りは立つはずだが、口当たりは瓶には及ばないだろうと予想する。
それを確かめるために購入した「瓶牛乳」だ。空き瓶は「マイ牛乳瓶」としてパックから注いで飲むつもりだ。
5月24日(土)毎日新聞掲載
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